2026年4月17日
「過度な節税」の裏側にあるもの ― 税理士が大切にしたい「節度」と「経営」
自社株の評価ルールが見直される背景には、一部で行われてきた「過度な節税策」がありました。しかし、現場で日々経営者様に寄り添う税理士として、思うことがあります。
1. 税理士が「過度な節税」に慎重な理由
「節税策を考えるのは税理士の仕事だろう」と思われるかもしれませんが、実は多くの税理士は、行き過ぎた手法にはとても慎重です。
なぜなら、私たちは顧問先様と「一生のお付き合い」をする覚悟でいるからです。無理な節税をして、後から税務署に否認されてしまう。その結果、顧問先様に多額の追徴課税という重い負担を負わせてしまうことは、私たちにとって最大の不名誉であり、何より避けなければならないことだと考えています。
私たちがご提案したいのは、あくまで「ビジネスの実態」に即した対策です。 例えば、長年の功労に報いる退職金の設計や、従業員の皆さんのモチベーションに繋がる持株会の活用など。「会社の経営」や「働く人の幸せ」を優先した、血の通った対策こそが、税理士の本来の役割だと信じています。
2. 数字に隠れた「中小企業会計」の事情
今回の議論では計算方式による評価の格差が注目されていますが、そこには中小企業特有の「会計のルール」も影響していると感じています。
安全運転の会計: 税務署への信頼性を優先し、本来は経費(修繕費など)にできるものでも、あえて保守的に資産として計上するような「安全運転」の決算を行っている会社は少なくありません。
負債の計上ルール: 従業員への賞与や退職金など、将来確実に発生する負担であっても、今の税務ルールでは「金額が確定するまで負債として計上できない」という決まりがあります。
こうしたルールの特性によって、帳簿上の数字が実態以上に膨らんで見えてしまうことも、評価格差が生まれる一因ではないかと思うのです。
私たちが最後に願うこと
一部の極端な手法が原因でルールが厳格化され、地道に、誠実に経営を続けているその他大勢の中小企業に悪影響が及ぶことを、私たちは何よりも危惧しています。
税務上の線引きをしっかり見守りながら、お客様の未来を共に描いていく。 私たちはこれからも、数字の向こう側にある「経営者様の想い」を大切にしながら、共に歩んでいける存在でありたい。そう願っています。
平洋輔税理士事務所 長野市 『法人』×『経営相談』 青葉会計アソシエ